<はじめに>
野口整体 活元指導の会
熱海本部道場で行なっています活元指導の会では、活元運動、愉気法・潜在意識教育法・体癖の勉強会を通じて野口晴哉先生の生命哲学の世界を金井とも子先生より学んでいます。
金井とも子先生
1939年生。
75年 師 野口晴哉より活元コンサルタントを免許される。
91年より金井蒼天の整体指導補佐として、道場に訪れる人達の相談役を務める。
以下は活元指導していただいてます金井とも子先生のお言葉です。これが私たちの活元指導の会です。
-----------
心を通した活元運動 気・自然健康保持会 金井とも子
さて、野口先生の書物に「全生」という言葉があります。寿命といった意味ではなく、「自分を使いきって十全に生きる」ということです。それはつまり、自分の体と心、すべてを自由に深く使いこなすということです。
そのためには、日常生活の中で、自分の気持ちをきめ細かく内観して行動に繋げていくことが大切です。日常の暮らしは楽しいことばかりではありません。けれども嫌なことに対して「やろう」と覚悟して「フッ」と体で修めると、嫌なことながらもきちんと通り越していきます。そうして自分が使った後の体の心地良さも知ります。
人間も地球と一緒で、体の真ん中に目に見えないマグマのようなものを抱えているのだと私は思います。それが時に荒々しく出てきたり、時に深く落ち込んだりしながら、日々暮らしているのだと思います。
そうした気持ちを内観して、他のものとつなげるのではなく自分とつなげていくと、心の強さを身に付けながら、歳を重ねることができます。皆さんは、まだお若いですが、私もただひたすら自分とつなげてきました。
無意識の中に本当の自分があります。「無意識だからわかりようがない」と思われるかもしれませんが、活元運動をしていると、無意識の中からポーンと浮かんでくるものがあります。それは良い思いの場合もあれば、嫌な思いの場合もあります。
私が、「野口先生の世界は、本当に優しい世界だ」と思ったのは、自分の良い部分も、嫌な部分も、すべて受け入れるという点です。
活元運動をやっていると、自分を合わせ鏡のように観るようになりますから、自分の嫌な部分もきちんと温めて外へ出すようになります。外へ出せるというのが無意識の運動、すなわち錐体外路系(すいたいがいろけい)の働きです。
ですから、活元運動というのは、単に体の運動ではなく、体の奥に潜むその人の宇宙心というか、魂の運動でもあるわけで、活元運動によって心身共に変わっていくのです。
人間は変わっていくものなのです。
私が昔、野口先生の道場へ通っていた時に感じたのが、来ている人たちが「体癖(たいへき)」や「愉気(ゆき)」「活元運動」など野口先生の世界を色々と語りはしても、生活と結びついていないということでした。
整体を受けているから、活元運動をやっているから健康だというつもりでも、一つ何か事が起きるとどうしようもなくなってしまう。そのような人を私は実際に見てきました。ですから、活元運動だけやっていればいいのではなく、活元運動と自分の気持ちをきめ細かくつないでいくことが必要なのです。
運動に入る前に、「今日はこんなことがあった」「こういう嫌な思いをした」とか、精神的な片付けをする。
活元運動を、生活をしていく中での自分の気持ちと結びつけて欲しいのです。そうしなければ「仏作って魂入れず」という言葉通り、空論に終わってしまうのです。
現代は無神経に自分だけを生きてしまっている人が多い。でも人間は人間によってしか幸せになれません。活元運動をしていると、人に対して嫌な思いをさせることをしなくなってきます。
それは、身体の中心の心が整ってきた証です。そういう人間はそばにいて心地良い。本当は人間誰しも、そばに居ると心地良いのだと思います。けれど、いつの間にか色々なものが付いてしまって、そばに居たくないものが生まれてしまう。「そんなことを言っても色々な人がいるのだからしょうがない」とおっしゃる人もいますが、自分が変われば隣の人も変わるのです。気持ちを軽くして生きていけるようになると、何が起ころうと楽です。
野口先生は「胃袋があるとか、自分のこれがあるといっているうちは駄目だ。そういうものは忘れる感覚で、毎日やることをやり、全生していくんだ」と話していました。
人間探れば、どこかここか痛いところ、都合が悪いところはあるものです。私はもう七十歳近いのですから皆さんよりもあります。けれど、それより何かやりたい要求の方が強く出ます。これは活元運動のお蔭だと思っています。
自分の気持ちを軽く使えるよう、潜在意識、無意識の中の閊えを、活元運動で自らどんどん出してしまう。体の閊えを取るために活元運動をする人もいますが、まず心の内がさっぱりしないと自分に余裕が持てず、体の方にも気持ちがいきません。心を通した活元運動の為には、最終的にお腹の第三できちんとした運動が出るようになることです。
自分の中に中心ができると、毎日色々な事をスルスル通っていけるようになります。私にしても、時には辛いし悲しいし、この歳になるとテレビで辛い事件を観るだけで一日塞ぎこんでしまったりします。
そのように人間は、人の辛さを、自分の心に受け止める感性を持っています。怒るも笑うもすべて体の中にあります。
若い人達は、体調が悪かったりするとつい薬を飲んだりして自分をいじめます。けれど活元運動を知ったら、極力いろいろなものに頼らず自分の中心を作り上げて欲しいと思います。私も三十三歳でこの世界を知り、薬などにお世話にならず、あとは静かに死ねれば儲けものと思っています。
(二〇〇七年九月二十九日・熱海活元指導の会にて)
